2016/10/10 00:33

みなさんこんにちは。
古来から日本人の生活文化に密接してきた植物である、竹や麻で物作りをしている工房ametutiのアキラです。

今日は、主な使用素材の竹について少し書いていこうと思います。

写真は別府公園の孟宗竹です。

日本人にとって、最も親しみを感じる植物を一つ挙げよと言われれば、竹と答える方は多いのではないかと思います。

実際に自分が使用している真竹は、九州原産と言われています。

日本での竹として良く言われる物に、マダケ、モウソウ、ハチク、と言われますが、モウソウチクは近世大陸から移植された種であるのがわかっています。
マダケ、ハチクは日本に古来から自生しており、生活に密接してきました。
主に西日本でマダケ、東日本でネマガリダケなど全国でタケ・ササ類を活用し縄文時代の古くからこの地で生活してきたのがわかります。
縄文時代の竹製品には籠や櫛さらに藍胎漆器まで出土しているようです。驚くのは縄文時代には網代編みの籠も作られているのがわかっています。
石刀を使って網代編みのヒゴを作るとは、かなりの手先の器用さがうかがえます。
網代編みは、財布の編みと同じ編みです。
竹の歴史を探っていくと古代からの日本の歴史とつながります。
詳しくはこちらの本に書かれています。


沖浦和光著『竹の民俗誌』です。
この本の中には、有史以前の竹製品、日本神話、海幸・山幸説話と先住民族・隼人、竹取物語、竹細工と被差別民(中世から近世へ)、サンカと箕作り、など興味のある話が多いです。

気になるのはサンカです。
最近ではサンカの記述がネット上に多く見られます。時代により捉えられ方が変わり非常に面白いです。
いつの時代もサンカにとって竹はとても重要なことがわかります。
サンカと忍者の記述もあり、忍者と言えば大麻を飛んでジャンプ力を鍛えたと言うエピソードが浮かぶので自分としては麻と竹を使った物作りを目指しているので繋がりを感じ、なんだかうれしくなります。
さらに、サンカの記述を探してゆくと自分の住む大分県に関係する記述が見られる事が興味深いです。
サンカ作家で有名な三角寛は竹田市出身だし、『上記』や『豊国文字』も大分に関係するし、『大友能直がサンカ1600人も殺し、昔から伝わっていた書物を奪った』との記述の大友能直は豊後国大友氏初代であります。そして、近代では別府的ヶ浜事件が出てきます。
別府は竹細工の有名な地であり大分県は真竹の産地でもあるのでサンカとの関わりはかなり深いと思われます。
自分はサンカではありませんが、縄文人の血が流れていると思っています(笑)
自分の通った別府羽室台高校の建設工事にともなう調査発掘で縄文時代の竪穴住居と呼ばれる住居跡が発見されています。
さらに高校の北側には姫山メンヒルという巨石が存在します。古代から人々の暮らしが営まれていた事がわかります。
余談ですが統合により別府羽室台高校は今年度で無くなってしまいます。
また、残念な事にキリシタン大名で有名な大友宗麟が、自分の通った中学校の隣にある火売神社の社殿を焼き古文書等も焼失させていますので、古い事はわからないようです。
最近では縄文時代は高度な精神性を持った豊かな時代といわれています。
サンカや縄文の記述を読む中で好きな文章があります。
『縄文の精神ですが、自然と共に生きることであり、自然の声を聞き、自分の魂の声を聞き、自分が何をしたいのか、何をすれば細胞の一つ一つが喜ぶのかを知り、それを自分で決めて、自分の責任で行動できる精神だと思います。』
とても共感できます。こういう風に生きていきたいと思っています。
すみません、話が少し脱線してしまいました(笑)



白竹は別府で唯一残っている竹材店で購入しています。
白竹にする為の竹の油抜きには湿式、乾式、木灰などがあります。
詳しくはネット上に説明がたくさんありますのでそちらを参考にしてください。


青竹は野津原の知人宅近くのところから取ってきています。
青竹を手に入るように手配してくれた、T君にこの場を借りて感謝申し上げます。
さらに名前を付けてくれたT君の友達のKさんにも感謝申し上げます。
ありがとうございます。



最後に染色について書いておきます。


写真は、三本寄せ網代・黒・大・漆仕上げです。


染色は塩基性染料で染めていますが欠点があります。
耐候性があまり良くなく紫外線にあたると色落ちしてゆくことがあります。


写真の品は6〜7年前に作った財布です。一年ほど使用しました。
色落ちしているのがわかるでしょうか。これはこれで味が出ていい感じだと思っています。
1回染めと2回染めたヒゴが混ざっていたので色の落ち具合にも差があります。
また、同じ染めでも、ヒゴにより染まり具合が若干の差があります。天然素材ですのでご理解の上ご使用願います。


写真のように様々な色に染色する事ができます。
左から、茶、紫、緑、赤です。これに漆を塗ると色が落ち着いた感じになります。ウレタン塗装なら色はほとんど変わりません。
今後製作して行こうと思います。
前にも書きましたが、三本寄せ網代のヒゴの色をお客様に選んで頂きオリジナルデザインを作ってもらえたら楽しいのではと考えています。


現代の暮らしでは、竹製品を使うことはあまりないと思います。
箸やカトラリーの素材として使われていたりしますが意識しないと竹とはわからないと思います。
また編組製品である、ざるや花籠、竹で編んだ照明器具が自宅にあるという方も数少ないと思います。
おしゃれな女性が竹のバッグや籠バッグとして持っている程度だと思われます。
身近に使える竹製品の少なさに問題があると思っていました。
そこで、竹だけにこだわらず、昔から注目していた麻と組み合わせることにより何か新しい物が出来ると思い、まずはバッグを製作しました。
そして、試行錯誤しようやく財布が完成しました。財布だと男女問わず使ってもらえるし、毎日使用する物です。使用にあたり少しは気を使ってもらわなければいけませんが、今まで経験した事のない竹の質感や暖かみを味わって頂けると思います。
この財布を使用してもらい、この日本に遥か昔から存在している植物、竹や麻を身近に感じてもらいたいと思っています。

ご注文お待ちしております。